ステップマザーとして、子どもとパートナーとの関係構築について思うこと

ドイツの子育て

渡独し、ステップファミリーとしてドイツ人夫とその息子(ステップソン)と生活し始めてから、1年半が経過しました。

1年半が経過すると、感じるストレスの種類が少しずつ変化していることに気が付きました。
そこで、自分がステップマザーをしていて感じた、こどもやパートナーとの関係性について、示していきたいと思います。

ステップマザーやステップファザーとして家族を築いていく方はもちろん、既に子どもがいる方で、これからパートナーを迎える方にとって、関係性を構築するヒントとなりましたら幸いです。

ステップファミリーになって半年:全てを受け入れすぎるストレス

当初は、自分に拒否権があることすら知らず(笑)、ステップソンが誘ってくる遊びや、タイミングに関係なく振ってくる会話全てに対応していました。

ある日、レゴの人形で遊んでいたなかで、おもちゃの車を衝突させて壊す遊びに発展したとき、自分の心がとても悲しんでいることに気が付きました。

私は、幼い頃から物を大切にするように親に言い聞かされてきたので、自分のものでなくても、意図的に壊すということにひどく罪悪感があり、更に楽しんでいるように繕って笑うことが辛いと感じていました。

しかし、それをどのように(しかも英語で)ステップソンに伝えるべきかわからず、また「私の価値観の押し付けにならないだろうか?」と疑問があり、結局自分の気持ちを無視して続行した記憶があります。

今なら、物を大切にしなさい!と堂々と伝えることができますが、当時は子どもと過ごすことが初めてで、どんなことをどのように教えたらよいのか、この子が今まで習ってきたことと相違のあることを言って混乱させてしまうのではないかなど、色々と考えていました。

ステップファミリーとして途中から子育てに参加している側としては、今までの築いてきたものを壊さないように気を遣っている場合が多いと思います。

ステップファミリ―としてパートナーを迎える方は、パートナーは、思いもよらないようなことで、毎日様々な悩みを抱えている場合があることを気にかけていただければと思います。

ステップファミリーになって半年~1年:大人だけになるとホッとする

子どもが生まれたときから一緒の方は「一人の時間が欲しい!」と何度となく思ったことがあるのではないでしょうか。

ステップマザーとして途中から子育てに参加した私は、子どもといることそのものに疲れたり「一人になりたい」、「大人だけの時間が欲しい」と思ってしまうことそのものに罪悪感を持っていました。

今では、そんな自分の気持ちも正当化できますが、当時は「全て受け入れるって決めたのに」、「子どもがいない方がリラックスできるなんて、ひどい考え方だ」と、なぜか決めつけており、理想の継母になれない自分を責めていました。

ドイツは共同親権の国であり、離婚時は裁判にて子どもと会う日数等を決めます。
その取り決めに則り、ステップソンも月に1度、実母のもとに泊まりに行きます。
冬休み等の長期休みは、連泊することもあります。

ステップソンが実母のところで過ごし、大人だけになると、とてもリラックスができ、将来のことを考える余裕さえ生まれる自分に気が付きました。

素直に言うと、ステップソンと暮らし始めて1年が経った頃、ステップソンが実母のところに行っている間もずっと「もうすぐ私が私でいられる時間が終わる」と考え、車の音がする度に「もう帰ってきた」と思ってしまうほどストレスが溜まっていた時期がありました。

それでも、その頃は頑張って笑顔を作っていたので、ステップソンはもちろん、パートナーも私のストレスに気が付いていませんでした。

その後、時間が経過するにつれて色んなことを素直に言い合えるようになったり、親である私たちが「正しい」と思うことは子どもに堂々と伝えて良いこと、自分を必要以上に押し殺す必要はないことなどを学び、日々の悩みやストレスは減っていきました。

しかし、1年半が経った頃、長期休みでステップソンが実母のところに連泊して帰ってきた際に笑顔で迎えることができないことがありました。

途中から子育てに参加するということは、途中から家族に入っていき、家族に「なっていく」ということです。

自分でも想像がつかなかったストレスが日々重なり、またそれをうまく言語化(しかも英語で…)することができず、説明のしようがないけれど、日々を過ごすことだけで本当にいっぱいいっぱいな状態でした。

私だって、本当は笑顔でステップソンを迎え入れ、優しく包み込む理想の継母でいたいのに、それができないほどに、取り繕えないほどに疲れ切っていました。

そんな時、私の浮かない顔を見たパートナーが「ステップソンが帰ってきただけでそんな顔になるなら、部屋から出てこなくていい。自分の時間を過ごしたらいい」という旨のことを言われました。

今までの私なら「本当に、自分は何てできていない人間なんだろう。子どもに辛い顔を見せたりして..」と思ってしまうような場面でした。

しかし、1年半を経て、私は「理想の継母にはなっていないけれど、頑張っている自分」を認めることが出来るようになっていました。自分が既に頑張っていることを知っているので、私だけが更に頑張り、自分を責めれば問題が解決するわけではないことにも、痛いほどに気が付いています。

子どもの前で笑顔になれない…解決方法は?

私は夫に、簡潔に以下のことを伝えました。

・子どもを笑顔で迎えられなかったのは、わざとではないこと
・私だって、笑顔で優しく子どもを迎え入れたいし、それが正しいことだとわかっていること
・それでも、どうしようもない日々のストレスが私に影を落としていること
・夫が私に投げかけた言葉は「子どもを明るく迎え入れてあげられないなんて最低だな、自分の問題なんだから、自分で勝手になんとかしろよ」という風に私には聞こえたこと
・確かにそれも一理あるけれど、私は乗り越えようと頑張っている。だから、何もしなくていいけれど、私の顔が暗いときは「大丈夫」「何も心配いらない」の2つの言葉だけかけて欲しいこと。

今まで、パートナーに何をどうして欲しいのか、自分で整理して伝えることは難しさがありました。(日本では、なかなか自分のニーズを強調する場面がないせいもあると思います)

ドイツ人パートナーとの、第二言語でのコミュニケーションという二重の異文化の壁に阻まれながらも、最近は自分の気持ちを整理し、相手に伝えることが少しずるできるようになってきました。

ステップマザーやステップファザーは、子どもとの関係に既に頭を悩ませている場合が多いので、そこで「パートナーも自分を理解してくれない」と感じてしまうと、とても深い孤独を感じます。

場合によっては、自分がその場にいる意味すら見失ってしまいかねません。

ステップマザーやステップファザーとして家族の一員になった側としては、やるべきことも、責任も理解しているし、理想も持っている場合が多いと思います。 しかし、既に生活を築いている家族のなかに「新しいメンバー」として入っていくのは容易ではありません。子どもが乳児の時からの育児の積み重ねの経験や信頼関係がないなかで、手探りで関係性を構築していく必要があります。

パートナーに見えない部分で、葛藤し、悩み、自分を責めている場面がたくさんあります。
そんな中、パートナーは自分を理解してくれる最後の砦です。
どうか、ステップマザーやステップファザーとしてパートナーを迎え入れた方は、理解しがたい態度や状況でも、「どうしたの?」「大丈夫だよ」という声掛けを忘れないで欲しいです。

さいごに

家族の数だけ、家族のかたちがあります。

自分の理想通りの母や父でいられる人は、そう多くはないと思います。

自分も子どもも、パートナーにも、優劣の順位をつける必要はありません。
ステップマザーやステップファザーになる人はもちろん、パートナーを迎え入れ、ステップファミリーをこれから築いていこうと思う人はみな、自分も子どもも、パートナーも等しく大切に想い、大切に接していけることを祈っています。

Be yourself, be happy!
Anna

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